都道府県社会的養育推進計画

国のビジョンを都道府県で実現するための計画が求められています。

主な見直しのポイント

計画期間

●2024年度に今期の期末を迎えるに当たり、次期計画は2025~29年度の5年を1期として策定。

項目

●令和4年改正児童福祉法の内容等を踏まえ体系を見直すとともに、現行の11項目を13項目とする。 ※「支援を必要とする妊産婦等の支援に向けた取組」「障害児入所施設における支援」を新設。

●家庭養育優先原則とパーマネンシー保障の理念に基づく支援の在り方を中心に据えた構成に。 

計 画 記 載 事 項

●現行計画との継続性を踏まえつつ、適切にPDCAサイクルを運用する観点から、各項目ごとに、 「現行計画の達成見込み・要因分析の内容等」の記載を求める。

●「資源の必要量等の見込み」「現在の整備・取組状況等」「整備すべき見込量等」の記載を求める。

●さらに、「整備すべき見込量等」について、「整備・取組方針等」(指定するものについては定量的 な整備目標も設定)として具体的に記載することを求める。

評 価 の た め の 指 標

●現行の策定要領においては、評価のための指標は例示となっているところ、次期計画では、各項目ご とに統一的な「評価のための指標」を設定する。

●各都道府県に、計画の進捗について、毎年度、当該指標等により自己点検・評価を求める。

●国は、各都道府県の取組の進捗について、毎年度調査を実施し、分析・評価して公表。


基本的な考え方(計画掲載事項)

(1)都道府県における社会的養育の体制整備の基本的考え方及び全体像


  • 国・地方公共団体においては、家庭養育優先原則とパーマネンシー保障の理念に基づくケースマネジメントの徹底や積み重ねが必要。
  • 計画策定に当たっては、当事者であるこどもや市区町村の意見の反映、子ども・子育て支援事業計画等との整合性を図ることが必要。
  • 計画策定の際は、都道府県児童福祉審議会等の合議制の会議への意見聴取を行うこととし、計画の進捗についても、毎年度、評価のための 指標等により自己点検・評価を実施して、その結果を当該会議へ報告するなど、適切にPDCAサイクルを運用することが必要。
  • 計画は、数値目標を単に達成すればよいものではなく、こども一人一人に対して行われたソーシャルワークがこどもに還元されていること が重要であることに留意することが必要。

(2)当事者であるこどもの権利擁護の取組(意見聴取・意見表明等支援等)

  • 令和4年改正児童福祉法においては、こどもの権利擁護に係る環境を整備することを都道府県の業務に位置づけるとともに、措置や一時保 護決定時等の意見聴取等措置、さらにはこどもの意見表明等支援事業の創設等、こどもの権利擁護に関する取組について拡充が図られたこ とを踏まえ、都道府県においては、これらの内容を適切かつ積極的に推進するための具体的な取組を進めていくことが必要。

(3)市区町村のこども家庭支援体制の構築等に向けた都道府県の取組

  • 児童相談所は、家庭維持に向け適切に在宅指導措置を行うとともに、こどもの身近な場所において、継続的に寄り添った支援が適当と考え られる事例については、市区町村に対して在宅指導措置の委託を行い、効果的にこどもや保護者に対する支援を実施することが必要。
  • 市区町村のこども家庭センターによる相談支援を通じて、支援が必要な家庭等に対して家庭支援事業などの支援メニューを提供し、虐待等 に至る前の予防的支援や、虐待等により親子関係の修復が必要な家庭に対する親子関係の再構築に向けた支援の効果的な実施が必要。

(4)支援を必要とする妊産婦等の支援に向けた取組

  • 支援を必要とする妊産婦等に対しては、家庭支援事業による支援のほか、妊産婦等生活援助事業により、支援の入口から妊産婦等との関係 を築きながら、ニーズに応じた多機能な支援を包括的に提供することが必要。 

(5)各年度における代替養育を必要とするこども数の見込み

  • 現行計画の代替養育を必要とするこども数の見込みについて、近年の児童虐待相談対応件数の増加等を踏まえて時点修正することが必要。 その際、予防的支援による家庭維持の見込数、家庭復帰や親族養育等への移行、養子縁組の成立の見込数を踏まえて算出することが必要。

(6)一時保護改革に向けた取組

  • 安全確保やアセスメントなどを適切に行うという目的を達成した上で、こどもの家庭養育優先原則を踏まえ、まず家庭における養育環境と 同様の養育環境を検討する。その上で、安全確保が困難な場合等には、できる限り良好な家庭的環境において個別性が尊重されるべき。ま た、こどもの年齢等に配慮しつつ、原則として個別対応を基本とすることが必要。こうした取組を進めるため、「一時保護ガイドライン」 を踏まえ、引き続き一時保護全般にわたる見直しや体制整備を図ることが必要。
  • 一時保護における家庭養育優先原則を踏まえた体制整備に取り組むととともに、国において策定する一時保護施設の設備及び運営に関する 基準を踏まえ、条例で基準を定め、必要な環境整備を行うことが必要。そのため、まずは委託一時保護が可能な里親・ファミリーホームの 確保・養成を行うとともに、一時保護専用施設等の確保など、一時保護の体制整備の充実に努めることが必要。 184 1.基本的考え方(計画記載事項)※ 現 行 策 定 要 領 か ら の 変 更 等

(7)代替養育を必要とするこどものパーマネンシー保障に向けた取組

  • 家庭養育優先原則とパーマネンシー保障の理念の徹底が必要。予防的支援により家庭維持のための最大限の努力を行うとともに、代替養育 が必要なこどもに対しては、里親等委託に対する実親の理解を醸成した上で、まずは里親、ファミリーホームの中から、こどもの意向等を 踏まえつつ、こどもにとって最良の養育先とする観点から代替養育先を検討。これらのいずれも代替養育先として適当でない困難な課題が あるこどもは、小規模かつ地域分散化された施設等への入所措置を行うことが必要。
  • その上で、これらの代替養育の開始の時点から、こどもを心身ともに安全かつ健全に養育できるよう家庭に対する支援を最大限に行って家 庭復帰を目指すとともに、それが困難な場合には、親族等による養育や特別養子縁組等を検討することが必要。 

(8)里親・ファミリーホームへの委託の推進に向けた取組

  • 代替養育を必要とするこどもに対しては、一時保護時や何らかの障害のあるこどもも含め「家庭と同様の養育環境」である里親・ファミ リーホームへの委託を原則として検討する必要があり、特に就学前の乳幼児期は養子縁組や里親・ファミリーホームへの委託を原則とする。
  • 国は令和11年度までに全ての都道府県において乳幼児の里親等委託率75%以上、学童期以降の里親探し50%以上を実現するための取組を推 進する。全ての都道府県において、乳幼児75%以上、学童期以降50%以上の里親等委託率となるよう数値目標と達成期限を設定する。
  • 児童福祉施設として新たに位置づけられた里親支援センターにおいて、里親のリクルートから里親等委託措置の解除後における支援に至る までの一貫した里親等支援が効果的に実施されるよう、国において策定する実施要綱等を踏まえて、その設置を促進することが必要。 

(9)施設の小規模かつ地域分散化、高機能化及び多機能化・機能転換に向けた取組

  • 家庭では実施が困難な専門的ケアを要する、又は年長児で家庭養育に対する拒否感が強いなどという理由で施設養育が必要とされるこども に対しては、地域小規模児童養護施設や分園型小規模グループケアで養育されるよう、必要な措置を講ずることが必要。
  • 児童家庭支援センター等の併設の検討や家庭支援事業の実施等、その専門性を多機能化・機能転換を図る中で発揮することが必要。

(10)社会的養護自立支援の推進に向けた取組

  • 令和4年改正児童福祉法により社会的養護経験者等に対し必要な援助を行うことが都道府県の業務とされたことなどから、児童自立生活援 助事業の年齢要件等の弾力化や社会的養護自立支援拠点事業の実施等、社会的養護経験者等の自立支援を推進していくことが必要。 

(11)児童相談所の強化等に向けた取組

  • 児童相談所の設置を検討している中核市・特別区に対しては、その円滑な設置に向け、人材育成等の必要な支援を行うことが必要。
  • 児童相談所においては、「新たな児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に沿って、児童福祉司等の増員や弁護士の配置等による法的対応 体制の強化、職員への研修の実施等による専門性の向上のほか、こども家庭ソーシャルワーカー資格の取得促進を図ることが必要。 

(12)障害児入所施設における支援

  • 障害児入所施設においても、被虐待児童が一定割合生活している。障害児入所施設においては、障害に対する正確な理解と障害特性に応じ た環境の提供に加え、できる限り良好な家庭的環境の下で支援を行うことが必要。 

次期計画策定上の留意事項

  • 各都道府県においては、2024年度末までに令和7年度から2029年度を計画期間とする新たな計画の策定を行うことが必要。
  • こども家庭センターの整備等に向けた支援、里親支援センターによる里親支援体制の構築に向けた実施機関やその配置の調整等、施設の小 規模かつ地域分散化等に向けた計画策定のための調整・検討等、可能なものから順次速やかに取組を進めることが必要。 

社会的養育推進計画一覧